X線結晶構造解析 (X線回折) の方法でタンパク質の構造解析を行う手順を記す。
目的タンパク質を大量に調製する(約10mg以上)
目的タンパク質の結晶化
X線回折(X線の照射)
回折強度を測定
位相決定(回折強度から結晶構造因子を求めるためには位相の情報が必要である。位相は重原子同型置換法、異常分散を利用した方法、あるいは分子置換法によって決定する。重原子同型置換法や異常分散を利用した方法を行うには白金や金、水銀、セレンなどの化合物で修飾したタンパク質の結晶が必要であり、分子置換法を行うには類縁のタンパク質の立体構造がすでに得られていなければならない。)
電子密度の計算(結晶構造因子からフーリエ合成で電子密度を計算する。)
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構造の精密化(手動で構築したモデルには歪みや誤りがある。そこで、人の手での修正作業と、原子間距離などに束縛条件を付けて、コンピュータ計算でもっとも歪みが少ない構造に修正する作業を、構造因子とよく一致する構造に収束するまで続ける。)
以上の手順で、律速の要因になっているのが、2.の結晶化および5.の位相決定のプロセスとなる。結晶化は以前よりは容易になっているとはいえ100%うまく行くものでなく、また得られた結晶が構造解析に使用できるかどうかは、位相決定を行うまでわからない。位相決定についてはコンピュータの能力の上昇に伴いスピードアップしているとはいえ現在も困難なプロセスの一つである。ただし、近年多波長異常分散(たはちょういじょうぶんさん)という新しい位相決定法を用いることにより、このプロセスはスピードアップしている。また、回折強度の決定にも従来は感光フィルムを用いていたが、現在はより高感度でダイナミックレンジの大きなイメージング・プレートや、読みとり速度が速いCCDなどのX線検出器を用いている。
X線結晶構造解析の特徴は、結晶化したタンパク質の立体構造が決定し、アミノ酸配座が厳密に決定するということである。コンフォメーションの変化の様子を捉えることはできないが、結晶化の条件を変えてやることによって、タンパク質の様々な状態を静的に捉えることができる。また、ラウエ法によってミリ秒などの短時間の状態をとらえる試みもなされているが、全てのタンパク質結晶に適応できるわけではなく、課題も多い。